「そろそろ一歩、踏み出したい」——そんな思いから、日帰りや1泊登山を卒業し、3泊4日のソロ登山にチャレンジしたいと考える人も多いはず。とはいえ、「何を持っていけばいいの?」「荷物が多くなりすぎない?」と不安もつきものです。
そこで今回は、ソロ登山をステップアップさせたい初心者〜中級者向けに、3泊4日登山に必要な持ち物をわかりやすく紹介します。装備の選び方や軽量化のコツも一緒にチェックして、あなただけの山旅の準備を始めましょう!
3泊4日登山ってどんな感じ?日帰り登山との違いとは
「3泊4日も山にいるなんて、どんな装備が必要なの?」と思う方も多いでしょう。実は日帰り登山と比べて、長期登山では考えるべきポイントがぐっと増えます。
ここでは、日帰りとの違いや、3泊4日登山がどんな経験になるのかを紹介します。
登山経験がステップアップする理由
3泊4日の登山は、まさに「登山経験を次のレベルに進める」挑戦です。標高差の大きいルートを自分の力だけで歩き、夜はテントで寝泊まり。山の中で暮らすような数日間は、自然と自分自身に向き合う濃密な時間になります。
日帰りや1泊の登山では味わえなかった「自立した登山者」としての手応えが得られるのが、このステップです。
日帰りと3泊4日では何が違う?
一番の違いは「自分で生活を完結させる準備」が必要なこと。食料、寝具、防寒具、緊急用品など、携帯するアイテムは格段に増えます。加えて、荷物の重さも増えるため、体力・装備の選び方・パッキング術まで工夫が求められます。
また、天候の変化やトラブル対応も視野に入れ、計画性が求められるのが3泊4日登山です。
これだけは必須!3泊4日登山の基本装備リスト
3泊4日の登山では「泊まる・食べる・歩く・安全に過ごす」ための装備がすべて自分任せになります。
ここでは、ソロ登山でも安心して行動できるように、必要な基本装備をカテゴリ別に紹介します。軽さと機能性のバランスを意識したアイテム選びが、快適な山旅のカギになります。
テント・寝袋・マット|宿泊装備の基本セット
まずは「寝る」ための装備から。テントは1人用で設営しやすく、軽量・防水性が高いものを選びましょう。山岳テントが理想的です。寝袋は季節に合った保温性(コンフォート温度)を確認し、断熱性のあるマットを組み合わせると底冷えを防げます。
寝袋マットは意外と快適性を左右するので、空気で膨らむインフレータブルタイプもおすすめです。


食料・水・調理道具|4日分の「食」の準備
食料は日数分×カロリー計算が基本。1日あたり2,500~3,000kcalを目安に、行動食(ナッツ、羊羹、シリアルバー)やフリーズドライの主食を用意しましょう。
調理には軽量なアルコールストーブやシングルバーナー、折りたたみ式のクッカーが活躍します。水は行動中の確保が難しい場合を想定し、2〜3Lの携帯+浄水器のセットが安心です。



ウェア・防寒具・雨対策|天候急変に備える服装
山の天気は変わりやすく、日中と夜間の気温差も激しいため、レイヤリング(重ね着)が重要です。基本は「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー(フリースなど)」「アウター(防風・防水)」の3層構造。
防寒具としてダウンジャケットやレッグウォーマー、手袋は季節を問わず準備を。レインウェアは必ず上下セパレートで防水透湿性のあるものを選びましょう。
靴・ザック・トレッキングポールの選び方
3泊4日の登山では、歩く時間が長くなるため足元の快適さは最重要。足首までしっかりホールドする登山靴+インソールの相性は事前に試しておきたいところです。
ザックは50〜65L程度の容量が目安。背面のフィット感、重量配分のしやすさがポイントです。トレッキングポールは荷物の重さを分散させる効果があるので、バランスを崩しやすい登り・下りで活躍します。
あると安心!初心者にこそおすすめの便利アイテム
基本装備はそろったけど、「何か足りないかも…?」と不安になるのが登山あるある。そんなときは“あると安心”なプラスαのアイテムをチェックしてみましょう。
実際に使って「これは持って行ってよかった!」と思える便利グッズは、初心者の心強い味方になります。
モバイルバッテリー・地図・ヘッドライト
スマホはGPSや天気アプリ、緊急時の通信手段として欠かせません。登山中は電波が弱くなりがちなので、容量の大きなモバイルバッテリーを持参しましょう。
地図アプリ(例:YAMAP)を活用する場合でも、紙の地図とコンパスはバックアップとして必須です。
また、ヘッドライトは早朝出発や日没後の行動に備えて準備を。乾電池式とUSB充電式の両方に対応しているものが便利です。

ファーストエイドキット・エマージェンシー用品
擦り傷や靴ずれ、軽い打撲は登山中によくあるトラブル。絆創膏、テーピング、消毒液、鎮痛薬、虫刺され用薬などをまとめたファーストエイドキットを常備しましょう。
また、ビバーク(予定外の野宿)や悪天候に備え、エマージェンシーシートやホイッスル、小型ミラーも役立ちます。
普段は使わなくても、「いざという時にある安心感」があなたの判断力と行動力をサポートしてくれます。

トイレ対策&衛生グッズも忘れずに
山中ではトイレの設備がない場所も多くあります。携帯トイレ(凝固タイプ)と処理用袋を用意しておくと安心です。使い方は事前に自宅でシミュレーションしておくのがベター。
また、ウェットティッシュ、アルコール消毒ジェル、歯磨きシートなどの衛生グッズもあると便利。快適に過ごせると心にも余裕が生まれ、登山そのものを楽しむ気持ちが高まります。

軽さと快適さを両立!持ち物の選び方と荷物の減らし方
登山で大事なのは「持っていくかどうか」の判断だけでなく、「どれを選ぶか」も重要。とくに3泊4日となると荷物の量は自然と増えてしまいます。そんな中で、快適さを保ちつつ、できるだけ軽くする工夫が登山の充実度を大きく左右します。
ここでは、装備選びのポイントと荷物の減らし方のコツを紹介します。
軽量化の基本ルール3つ
- 使わない可能性が高いものは持たない
「念のため」は重量増のもと。過去の登山経験から、本当に使ったものだけを見極めて選びましょう。 - 多用途に使える道具を選ぶ
たとえば、ウィンドシェルは防風にも防寒にも使える。カップはコッヘルとしても使える。兼用できるものは積極的に取り入れて。 - 重量より“体感の重さ”を意識
同じ500gでも、ザック上部にあるか腰に近いかで感じ方は異なります。パッキング位置も含めて軽さを意識しましょう。
ミニマリスト装備 vs 快適優先派
「とにかく軽くしたい!」というミニマリスト派と、「多少重くても快適に過ごしたい」快適重視派。どちらも正解で、正しいのは「自分に合ったスタイル」です。
初心者は快適さを優先してOK。回数を重ねて「これは要らなかったかも」と感じたら次回に反映すればOK。登山は常に“試行錯誤しながら洗練されていく旅”です。
実際に「持ってよかった!」と感じた装備
以下は筆者や登山仲間が実際に「これあって助かった!」と感じたアイテム例です。
- ジップロック袋(防水・仕分け用に大活躍)
- スポーツようかん(非常時にも使える高カロリーおやつ)
- ネックウォーマー(秋冬は首元を守るだけで体感温度がかなり違う)
- 携帯できる足拭きシート(地味に嬉しい快適グッズ)
こうした“ちょっとした装備”が疲れを和らげてくれることも。人によって「良かった」と感じるものは違うので、レビューを読んだり登山仲間の声を参考にするのもおすすめです。
初心者から中級者へ|パッキングのコツと注意点
せっかく装備をそろえても、パッキング次第で背中が痛くなったり、必要なものが取り出しづらくなったりすることも。とくに長期間の登山では、ザック内の整理が登山中の快適さに直結します。
ここでは、初心者から一歩進んだ“中級者向けのパッキング術”を解説します。
ザックの容量と重心バランスの考え方
3泊4日登山では、50~65Lの容量が一般的。容量が大きすぎると詰めすぎて重くなり、小さすぎると荷物が入らず無理な詰め方になってバランスを崩します。
重いもの(食料や水など)はザックの中心〜背中寄りに。軽いものは上や外ポケットに配置し、重心が背中の中心にくるように意識しましょう。
ウエストベルトとショルダーハーネスも活用して、荷重を分散するのがポイントです。
忘れ物を防ぐチェックリストの使い方
登山の準備段階で一番怖いのは「うっかり忘れ」。命に関わる装備もあるため、チェックリストを活用するのが安心です。
紙に書く/スマホのメモアプリにまとめる/チェックリストアプリを使うなど、自分に合った方法でOK。
当日朝ではなく、前日夜に最終確認を行うのがミソ。「あと1つ」のつもりがザックに入ってなかった…なんて失敗は意外と多いのでご注意を。
パッキングに慣れるコツと練習法
初心者のうちは、「あれ?これどこ入れたっけ?」とザックを何度もひっくり返してしまいがち。そんなときは、自宅でパッキング練習をしておくと効果的です。
ザックを担いで実際に歩いたり、荷物の取り出しやすさをシミュレーションしておくと、当日スムーズに行動できます。
使う頻度が高いアイテムは、外ポケットやザックの上部に配置するよう意識しましょう。
【一覧表】3泊4日登山の持ち物チェックリスト
カテゴリ | アイテム例(用途・ポイント) |
---|---|
宿泊装備 | テント(1人用・軽量)寝袋(快適温度0〜10℃)マット(断熱性重視) |
食料・調理 | フリーズドライ食品/アルファ米行動食(ナッツ、ようかん等)シングルバーナークッカーセット(鍋・カップなど)燃料(ガス缶、アルコール等)ライター・マッチ |
飲料・水対策 | 水2〜3L(ハイドレーション推奨)浄水器 or 殺菌剤空ボトル(折りたたみ式も便利) |
ウェア類 | ベースレイヤー(速乾Tシャツ・下着)ミドルレイヤー(フリース等)アウター(防風・防水)ダウンジャケットレインウェア上下帽子/手袋/ネックウォーマー着替え(下着・靴下) |
登山装備 | 登山靴(中〜高カット)ザック(50〜65L)トレッキングポールゲイター(雨・雪対策) |
電子機器 | スマートフォン(地図アプリ)モバイルバッテリー(10,000mAh以上)ヘッドライト(予備電池含む) |
安全用品 | 地図(紙)・コンパスファーストエイドキットエマージェンシーシートホイッスル・小型ミラー |
衛生・トイレ | 携帯トイレウェットティッシュ歯みがきシート/タオルアルコール除菌ジェル |
便利アイテム | ジップロック(仕分け・防水)ビニール袋(ゴミ持ち帰り)足拭きシート防水スマホケース |
よくある質問Q&A|3泊4日登山でみんなが悩むこと
はじめての3泊4日登山では、装備や行動について「これってどうするの?」と迷うポイントがいくつも出てきます。
ここでは、初心者〜中級者の間でよく聞かれる疑問をQ&A形式で紹介。事前に不安を解消して、安心して出発できるようにしましょう。
食料はどのくらい用意すればいいの?
1日あたり約2,500〜3,000kcalを目安に、行動食(行動中に食べるおやつ)・主食・夕食の構成で用意するのが基本です。フリーズドライやアルファ米など、調理が簡単なものがおすすめ。
荷物の軽量化のためにも、日数分をまるごと持っていくのではなく、途中で補給できる山小屋や水場があれば計画的に活用しましょう。
雨の日の登山はどう備える?
天候が崩れる可能性がある場合でも、完全に中止にできないのが長期登山の難しさ。必須装備は、上下セパレートタイプのレインウェア、防水のザックカバー、スマホ用の防水ケース。
ザック内の荷物はスタッフバッグやジップロックなどで小分け+防水しておくと安心です。濡れる前提で行動計画を立てておくと、焦らずに対応できます。
初心者でもテント泊は可能?
はい、装備と知識があれば初心者でもテント泊は可能です。重要なのは「事前準備」と「予行演習」。天気や気温の確認、設営・撤収の練習、寝袋の選び方など、細かいポイントを押さえることで安心感が高まります。
また、最初はテント場が整備されているエリアや山小屋近くでのテント泊からスタートすると、安心して体験を積むことができます。
寝袋の選び方で迷っています
寝袋は「快適使用温度(コンフォート)」を基準に選びましょう。春秋の山間部なら0〜5℃対応のもの、夏の高山なら5〜10℃対応でOK。
ダウン素材は軽くて暖かいですが、濡れに弱いため防水対策も必要。化繊タイプはかさばるものの、湿気に強く扱いやすいのが特徴です。
パッキングとの兼ね合いで、収納サイズや重さにも注目して選ぶと快適です。
あなたもきっと行ける!3泊4日登山の準備を始めよう
3泊4日の登山は、最初はハードルが高く感じられるかもしれません。でも、必要な装備をしっかり準備し、少しずつ経験を重ねていけば、誰でも挑戦できる目標です。むしろ、日常とはまったく違う時間の流れと、自分の力で進む感覚は、忘れられない思い出になるはず。
この記事で紹介した装備リストやパッキングのコツを参考に、自分の登山スタイルを見つけてください。「あの山、行けるかも」と思えたら、それがもう最初の一歩です。
自然の中でしか味わえない時間が、あなたを待っています。無理なく、安全第一で、3泊4日の山旅を楽しんでくださいね!