「登山を始めてみたいけれど、何をどこまでそろえればいいのか分からない」「なるべく出費は抑えたいけれど、安全面はしっかりしたい」ーーそんな不安を抱えている方に向けて、登山道具を一式そろえる際の費用目安と優先順位をわかりやすく解説します。
登山初心者が安心して始められるよう、まずそろえたい基本装備とその相場感、オンラインで買うべきものとお店で試したいものの違い、コストを抑える工夫まで丁寧にご紹介します。
あなたのペースで、無理なく登山を楽しむ第一歩を踏み出しましょう。
登山道具一式の内訳と費用の目安
登山を安全に楽しむためには、ある程度の装備が必要です。ただし、最初からすべてを完璧にそろえる必要はありません。
ここでは、一般的に「登山道具一式」とされるアイテムと、それぞれの相場価格をご紹介します。全体の費用感を把握することで、予算に合わせた準備がしやすくなります。
登山に必要な基本装備一覧
登山道具には、季節や登山のスタイルに応じてさまざまな種類がありますが、初心者がまず用意したい基本装備は以下の通りです。
- 登山靴:滑りにくく、長時間歩いても足を守ってくれる重要アイテム
- バックパック(ザック):容量は20〜30L前後の日帰り用が一般的
- レインウェア(上下):急な天候変化に備える必需品
- インナー・ミドルレイヤー(重ね着):汗冷え防止と体温調整のための機能性衣類
- 帽子・手袋:直射日光や風、ケガ防止に役立ちます
- ヘッドランプ:思わぬ日没に備えて必ず用意
- トレッキングポール(任意):膝への負担軽減に効果的
- 救急セット・常備薬:万が一に備える最低限の応急処置用品
- 飲料ボトル・行動食:脱水やエネルギー切れを防ぐ必須装備
- 地図・コンパス(または登山アプリ):迷ったときのためのナビゲーション
これらをそろえることで、安全で快適な登山デビューが可能になります。


装備ごとの相場価格と選び方のポイント
それぞれのアイテムについて、初心者が選びやすい価格帯の目安を紹介します。あくまで参考価格ですが、予算の組み立てに役立ててください。
装備名 | 相場価格(目安) | 補足ポイント |
---|---|---|
登山靴 | 15,000〜30,000円 | 試着必須。足に合ったものを選ぶ |
バックパック(ザック) | 10,000〜20,000円 | 背面長や肩へのフィット感が重要 |
レインウェア | 15,000〜30,000円 | 防水透湿性の高いものを推奨 |
インナー類 | 3,000〜7,000円 | 速乾性・防臭性を重視 |
ミドルレイヤー | 5,000〜15,000円 | 季節や標高に応じて厚さを調整 |
帽子・手袋 | 各2,000〜5,000円 | 紫外線・ケガ対策に有効 |
ヘッドランプ | 3,000〜6,000円 | 電池式orUSB充電式を選択 |
トレッキングポール | 5,000〜12,000円 | 必須ではないが負担軽減になる |
救急セット | 1,000〜2,000円 | 必要なものを厳選して軽量に |
飲料ボトル・食料 | 500〜2,000円 | 水筒や保冷ボトルが便利 |
このように、一式をすべて新品でそろえる場合はおおよそ6〜10万円程度が目安となります。
ただし、使用頻度や登山スタイルによって優先順位をつけてそろえていけば、もっと手頃な価格から始めることも可能です。


まずそろえたい!最低限必要な登山道具とは
初めての登山では、すべての装備を一度にそろえる必要はありません。必要最低限の装備からスタートし、実際に山に行きながら少しずつ買い足していくのがおすすめです。
ここでは、登山初心者が最初に用意すべき「本当に必要な道具」と、手軽にそろえやすいオンライン購入向けのアイテムをご紹介します。
必須アイテムとその理由
登山は天候や体調によってリスクが高まるアクティビティです。そのため、安心・安全を確保するための装備は妥協せずにそろえておくことが大切です。
以下は、初心者が最優先で用意したいアイテムです。
- 登山靴:不整地でも滑りにくく、足首をしっかりサポートする靴は最重要。普通のスニーカーではケガのリスクが高まります。
- レインウェア(上下):山の天気は変わりやすいため、突然の雨や風に備えて必携。晴れ予報でも忘れずに。
- バックパック(20~30L):水や行動食、防寒具などを無理なく収納できる適度なサイズがベスト。
- ヘッドランプ:日帰りでも、万が一のトラブルで下山が遅れたときのために必須。昼間だけの登山でも必ず持っておきましょう。
- 飲料ボトル・行動食:水分とエネルギー補給は命綱。こまめに飲み、少量でも効率よくエネルギーが取れる食べ物を持参しましょう。
これらの装備は、安全性と快適性の両方を支えてくれる“登山の基本”とも言えるアイテムです。
オンライン購入でそろえられるもの
すべてを店舗で買うのは手間もかかりますし、予算的にも一度に出費するのは負担になることも。そこで、まずはオンラインで購入しやすいアイテムからそろえていくのがおすすめです。
オンライン購入に向いているのは以下のような装備です。
- ヘッドランプ:軽量かつサイズも均一。レビューを参考に性能を比較すれば安心です。
- レインカバー・レインウェア(サイズ選びに自信があれば):体型に合ったサイズが分かっていればネット購入でもOK。透湿性や重さに注目して選びましょう。
- ボトル・水筒類:保温・保冷性能や飲み口の形状などを比べて、自分の好みに合ったものを選べます。
- インナー・靴下類:登山用の速乾素材や防臭機能のあるアイテムは、ネット限定価格やセット商品も充実しています。
ただし、登山靴やザックのように「フィッティングが重要な装備」については、次でご紹介するように、できるだけ実店舗で試着して選ぶことをおすすめします。


リアル店舗での購入をおすすめする装備

オンラインで手軽に買える登山道具も多いですが、「実際に手に取って試してから選ぶべきアイテム」もあります。特に、自分の身体にしっかりフィットしていなければ、登山中に不快感やトラブルの原因になりかねません。
ここでは、リアル店舗での購入をおすすめしたい理由と、選び方のポイントを解説します。
フィッティングが重要な道具
まず、登山靴は最も慎重に選びたいアイテムです。歩行時間が長くなる登山では、足に合わない靴を履いていると、靴ずれや痛みが発生し、最悪の場合は途中で歩けなくなることもあります。足幅や甲の高さに合わせて、複数のモデルを試着し、実際に店内を歩いてフィット感を確かめるのが理想的です。
バックパック(ザック)も同様に、身体との相性がとても大切です。背面の長さや肩のベルトの位置、ウエストベルトのフィット感など、実際に背負ってみないとわからない要素が多くあります。特に女性は体型によって合うモデルが異なるため、女性専用モデルを用意している店舗での購入をおすすめします。
レインウェアもできれば店舗で試着したいアイテムです。サイズ感はもちろんですが、着心地や動きやすさ、防水性能や透湿性などを実際に触れて確認することで、自分に合った一着を見つけやすくなります。
店舗で確認する際のチェックポイント
店舗で装備を選ぶ際は、次のような点に注意しましょう。
- 登山靴の選び方
・試着は午後〜夕方に(足が少しむくんだ状態でフィット感をチェック)
・厚手の登山用ソックスを着用して試す
・傾斜のあるテスト台で上り下りの感覚を確認 - バックパックの選び方
・体格に合わせた背面長の調整ができるモデルかを確認
・重りを入れて背負い、歩いたときの安定感や荷重バランスを体感
・肩や腰への当たり具合に違和感がないかをチェック - レインウェアの選び方
・腕を大きく動かしたときに突っ張らないか
・フードの視界や首回りの締め付け感なども確認
・パンツの脱ぎ履きがしやすいか(トイレ時の動作も意識)
これらのポイントを押さえて選ぶことで、長く使える快適な装備を手に入れることができます。スタッフが丁寧に対応してくれる登山専門店を選ぶと、安心して相談できますよ。
賢い節約術!登山道具一式を安くそろえる3つのコツ

登山道具を一式そろえるとなると、予想以上に出費がかさんでしまうことも。ですが、工夫次第で出費を抑えつつ、しっかりと必要な装備を整えることは可能です。
ここからは、初心者が取り入れやすい「賢い節約術」を3つご紹介します。お財布にやさしい方法で、安全な登山デビューを目指しましょう。
レンタルや中古を活用する
まだ登山を続けるかどうか決めかねている人には、レンタルサービスの活用が最も手軽な方法です。登山靴やザック、レインウェアなどの主要装備はレンタル対象となっていることが多く、試してみてから購入を検討することができます。
特に年に1~2回程度しか登らない人には、購入よりもコストパフォーマンスが良いケースもあります。
また、中古ショップやフリマアプリを活用するのも一案です。アウトドア用品は比較的丈夫に作られており、状態の良いものが出回っていることも多いため、信頼できる出品者から購入すれば十分実用可能です。
ただし、靴やレインウェアなど、フィッティングが重要なアイテムは慎重に。
セール時期・アウトレットを狙う
登山用品は、シーズンオフや大型連休後にセールが行われることが多く、特に夏の終わりや年末年始は狙い目です。また、アウトレットモールやオンラインのアウトレットストアでは、型落ちモデルや展示品が割引価格で販売されていることも。
機能性には問題がないにもかかわらず、カラーバリエーションの変更や小さなデザインの違いだけで値下げされることもあるため、ブランドや見た目に強いこだわりがなければ大変お得に入手できます。
必要な順に少しずつそろえていく
「一式まとめて購入しなければならない」と考えると負担に感じてしまいますが、実際はそんな必要はありません。まずは日帰りの低山から始めることを想定し、必要最低限のアイテムだけをそろえるところから始めましょう。
たとえば、最初に用意すべきは登山靴とレインウェア、そしてザック。その他のアイテムは、家にあるもので代用できる場合もあります。登山の頻度やスタイルが定まってきたら、徐々に買い足していけば無駄な出費を抑えることができます。
行動あるのみ!今週末は装備を整えて登山準備を
登山を始める準備は、思っているほど難しくありません。全部の装備を一気にそろえる必要はなく、「今できることから一歩ずつ」で大丈夫です。
ネットで手軽にそろえられるアイテムは早めに購入し、登山靴やザックなどフィッティングが重要な装備は、今週末に実店舗で試着してみましょう。
自分に合った装備で登山に挑めば、自然の中で過ごす時間はきっと特別なものになります。最初の一歩は、ほんの少しの行動から。無理なく、安全に、そして楽しく。あなたらしい登山のスタートを応援しています!