「ペダルを回すとギシギシ音がする」「クランクがガタつく」——クロスバイクのこんな症状、放っておくと快適な走行ができなくなるだけでなく、走行中にクランクが外れてしまったりして安全走行面でもとても危険です。
その原因がBB(ボトムブラケット)にある場合、交換のタイミングを見極めることが大切です。
今回は、自転車のBBの役割から寿命の目安、交換すべき症状、そして固着して外れないときの対処法まで、初心者にも分かりやすく解説します。実体験に基づくリアルなポイントも交えながら、あなたの愛車を長く快適に保つためのヒントをお届けします。
そもそもBB(ボトムブラケット)とは?

ペダルとクランクを支える自転車の心臓部
BB(ボトムブラケット)は、自転車のフレーム中央、クランクの軸部分に組み込まれているパーツです。ペダルを回す力をスムーズに伝えるため、内部にはベアリングが収められています。
ここがスムーズに回らないと、漕ぎ出しが重くなったり、異音やガタつきが発生します。言ってみれば、BBは自転車の“心臓”や“関節”のような存在です。
BBの種類と構造(カートリッジ式/ホローテックIIなど)
BBには大きく分けて「カートリッジ式」と「ホローテックII」などの外部ベアリング式があります。カートリッジ式はBB内部が一体構造で密閉されており、耐久性が高くメンテナンスが少なめ。一方、外部ベアリング式は軽量で回転性能に優れますが、定期的なグリスアップや交換が必要です。
構造や規格によって交換方法や工具が異なるため、メンテナンス時にはまず自分のBBタイプを把握することが重要です。

BB交換が必要になるサイン
BBは消耗品です。使い続けるうちに内部のベアリングやグリスが劣化し、走行性能に影響が出てきます。交換タイミングを逃すと、走りの快適さだけでなく、他のパーツの寿命まで縮めてしまうこともあります。
ここでは、BB交換を検討すべき代表的な症状を紹介します。
ペダルを回すと異音がする
「ギシギシ」「パキッ」「カチカチ」といった異音は、BB内部のベアリング摩耗やグリス切れが原因のことがあります。
チェーンやペダルではなく、ペダルを踏み込んだ瞬間や回転中に音が鳴る場合は、BBを疑ってみましょう。放置するとベアリングが完全に壊れ、走行不能になることも。
僕の場合は、走行途中にグラグラしてクランクとペダルごと外れしまいました!その顛末は関連記事を参照ください。
クランクにガタつきが出る
ペダルやクランクを手で揺らしたとき、左右や上下にわずかな遊び(ガタ)がある場合は、BBの固定力が弱まっているサインです。ベアリングが摩耗して軸がしっかり支えられなくなっているか、締め付けが緩んでいる可能性があります。
回転が重くなった/引っかかる感触がある
ペダルを回したときに「ザラザラ感」や「引っかかり」を感じる場合、BB内部でベアリングが傷ついている可能性があります。特に雨天走行や長期間メンテナンスをしていない場合は、内部に水や砂が侵入して劣化が進んでいることが多いです。
BBの寿命はどれくらい?走行距離と使用環境で変わる
BBの寿命は「〇年」と一概には言えません。使い方や環境によって大きく変わりますが、目安を知っておくことで交換の判断がしやすくなります。
一般的な交換目安(距離・期間)
スポーツ自転車のBBは、一般的に走行距離5,000〜10,000km、または使用開始から2〜5年が交換の目安といわれていたりします。週末ライド中心の人なら数年は持ちますが、毎日通勤で使う人や雨天走行が多い人は寿命が短くなります。
保管方法も重要で、屋根のない場所に置いていることが多いと、雨に濡れて水分がパーツに入り込んだりしてそれがBBに影響することもあるようです。
雨天走行・洗車方法など環境要因
雨天や泥道の走行は、BB内部への水分・砂埃の侵入リスクを高めます。さらに、高圧洗浄機での洗車はベアリング内部に水を押し込んでしまい、グリス切れやサビの原因になります。こうした環境では寿命が半分以下になることもあります。
メンテナンス頻度と寿命の関係
定期的な点検やグリスアップを行うことで、BBの寿命は大きく延びます。特に外部ベアリング式は年1回程度の清掃・グリス補充が推奨されます。異音やガタつきがなくても、数年ごとに予防的交換を行う人も少なくありません。
交換を早めたほうがいいケース
BBはある程度の寿命がありますが、状況によっては「まだ使える」状態でも早めの交換が得策なことがあります。安全性や走行性能を優先すべき場面を押さえておきましょう。
レースや長距離ライドを控えているとき
イベントやレース、長距離ツーリングなどで途中トラブルを避けたい場合は、異音や違和感がなくても事前交換がおすすめです。本番中にBBトラブルが起きると完走が困難になるだけでなく、他パーツへのダメージも大きくなります。
異音が急に大きくなったとき
小さな異音は徐々に大きくなることが多いですが、急に「ガタッ」「ガリガリ」といった音が増した場合は危険信号です。内部ベアリングの破損やシール破れが進行している可能性があり、放置は厳禁です。
BB規格変更やアップグレードを検討しているとき
フレームやクランクの交換に合わせてBBの規格を変更する場合や、軽量・高性能モデルへのアップグレードを検討している場合も交換の好機です。どうせ作業するなら古いBBはそのまま使わず、新品にしてしまったほうが安心です。
固着して交換できない場合の対処法
BB交換でよくあるのが「回らない」「ビクともしない」という固着トラブル。長年の使用や水分・汚れの侵入でネジ山が固まり、専用工具をかけても外れないことがあります。そんなときは、力任せに回す前に以下の方法を試してみましょう。
潤滑剤・専用工具でのアプローチ
浸透性の高い潤滑剤(例:ラスペネ)をネジの隙間にたっぷり吹きかけ、最低30分〜数時間ほど浸透させます。その後、カートリッジBBレンチなど持ち手付きの専用工具をしっかり固定し、トルクをかけやすい状態で作業します。
左右から振動を与えるテクニック
力任せに一方向へ回そうとせず、ゴムハンマーで左右交互にコツコツと叩きながら微振動を与えると、サビや固着が剥がれやすくなります。これにより、ネジが回り始める“きっかけ”を作ることができます。

あきらめる前に試したいこと
実際にBB固着を解消した体験談は、別記事「BB(ボトムブラケット)固着で外れない!…専用工具でクロスバイクのBB交換に成功した話」で詳しく紹介しています。
ポイントを次のような点です。
- 潤滑剤を吹き付けて数日放置する(1日1回程度、追加で吹き付ける)
- 複数の専用工具を試してみて
- 片方だけでなく、左右交互に緩めることを意識する
- 複数のアプローチを組み合わせる
交換作業前に準備しておきたい工具と消耗品
BB交換は、適切な工具と準備があってこそスムーズに進みます。無理に作業を進めるとネジ山を傷めたり、工具やフレームを破損するリスクがあるため、事前準備はしっかり行いましょう。
BB交換専用工具(カートリッジBBレンチなど)
BBの種類に応じた専用工具が必要です。カートリッジ式なら「カートリッジBBレンチ」、外部ベアリング式なら専用スパナやレンチを用意します。持ち手付きタイプはトルクをかけやすく、固着時にも有効です。




潤滑剤・グリスの選び方
固着防止やスムーズな回転を維持するために、組み付け時には必ずグリスを塗布します。パークツールなどの自転車用グリスが定番。固着解消には浸透潤滑剤(ラスペネなど)を準備しておくと安心です。


作業環境と安全対策
明るく安定した作業スペースを確保し、車体をしっかり固定できるメンテナンススタンドを使用しましょう。また、手を保護するための作業用手袋や、目に潤滑剤が入らないよう保護メガネも用意しておくと安全です。

BB交換に必要な工具リスト一覧
この記事で紹介したクロスバイク(自転車)工具のリストをご紹介しておきます。工具の詳細はAmazonの商品詳細ページを参考にしてみてください。
工具名 | 用途 | 詳細リンク |
---|---|---|
BB(ボトムブラケット) | 交換するパーツ本体 ※自分の自転車本体と互換性のあるBBを選びましょう!(以前は68mmか70mmの2種類だった) | Amazon |
カートリッジBBレンチ | カートリッジ式BBを取り外すための専用レンチ | Amazon |
BB取り外し用工具 | BBの取り外し専用工具。コッタレス抜き、カートリッジBB専用アダプター取付工具 ※先端にBB専用アダプターが付いた一体型のBBレンチもあり | Amazon |
ゴムハンマー | 固着したBBに左右からコツコツと振動を与えて緩める | Amazon |
モンキーレンチかトルクレンチ | BBやクランクを締め付ける工具 | Amazon |
浸透潤滑剤(ラスペネ) | 固着やサビを緩めるために浸透させる | Amazon |
自転車用グリス | 組み付け時に塗って固着防止&回転を滑らかにする | Amazon |
メンテナンススタンド | 作業時に自転車を安定して固定する | Amazon |
あなたの愛車を長持ちさせる!定期チェックとメンテのすすめ
BBは一度交換すればしばらく使えますが、「交換して終わり」ではありません。定期的なチェックとメンテナンスを続けることで、寿命をさらに延ばし、愛車の快適さを保てます。
たとえば、ライド後の洗車時にクランクの回転や異音を確認する、数か月に一度は車体を持ち上げてクランクのガタつきをチェックする、といった簡単な習慣でも十分効果があります。異音や重さを感じたら、早めに原因を特定して対応することが重要です。
また、BB周辺は普段目につきにくい部分なので、定期的な点検日をカレンダーやスマホに登録しておくと忘れにくくなります。固着や異常が見つかった場合は、無理せず自転車店やメンテナンスに詳しい人へ相談するのも大切です。
固着解消や実際の交換作業の手順は、関連記事「BB(ボトムブラケット)固着で外れない!…専用工具でクロスバイクのBB交換に成功した話」で写真付きで解説しています。この記事と合わせてチェックすれば、交換の見極めから作業まで自信を持って取り組めるはずです。
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