登山の楽しみといえば、山頂で食べるあったかいご飯や淹れたてのコーヒー。そんな“山ごはん”を支えるのが、ガスバーナーです。とはいえ「種類が多すぎてどれを選べばいいの?」という初心者の声も多いはず。
そこで今回は、登山初心者〜中級者の方に向けて、失敗しないバーナーの選び方を解説。2025年注目のおすすめモデル12選も、タイプ別にわかりやすく紹介していきます。
登山で使うガスバーナーってどんな道具?
はじめに、登山のときに使うガスバーナーの基礎知識について見ていきましょう。
ガスバーナーの役割と使うシーン
登山用ガスバーナーとは、山の中で調理やお湯を沸かすために使う携帯型の火器です。登山中の昼食や、山小屋泊・テント泊での夕食づくり、そして朝のコーヒータイムまで、幅広い場面で大活躍するアイテム。
とくに標高の高い場所では気温が低く、冷たい食事だと体が冷えてしまいがち。そんなとき、さっとお湯が沸かせるバーナーがあると、心も体も温まります。
また、最近では「山ごはん」を目的に登山を楽しむ人も増えており、バーナー選びが登山スタイルに直結するほど重要になっています。
家庭用との違いとは?
「家で使うカセットコンロと何が違うの?」という声もよく聞きますが、登山用ガスバーナーは軽量性・コンパクトさ・耐風性が圧倒的に違います。
家庭用は安定感があり大きな鍋も置けますが、持ち運びには不向き。一方、登山用バーナーはザックに入れてもかさばらず、風の強い山頂でもしっかり火が使えるよう工夫された設計になっています。
また、燃料ボンベも「OD缶」や「CB缶」と呼ばれる専用規格があり、寒さに強いタイプや持続燃焼に優れたものなど、登山に適した選択肢が用意されています。
初心者が知っておきたいガスバーナーの選び方
バーナー選びは「どれが人気か」よりも、「自分の登山スタイルに合っているか」が大事。ここでは、初めての1台を選ぶうえで注目したいポイントを、わかりやすく解説していきます。
登山スタイルで選ぶ|ソロ・ファミリー・冬山対応
まず考えたいのが、どんな登山で使うか。たとえば、ソロ登山なら軽くてコンパクトなシングルバーナーが最適。最小限の荷物でサッと湯を沸かせるタイプが重宝します。
一方で、複数人で山ごはんを楽しむグループ登山やファミリー登山では(荷物を分担できるなら)、鍋が安定して置ける「分離型」がおすすめ。調理のしやすさや安定感が重要です。
また、冬の登山や高所では、寒さに強いバーナーが必要。低温でもガスが気化しやすい「マイクロレギュレーター」搭載モデルを選ぶと安心です。
ちなみに、ガスバーナーには「ツーバーナー型」もありますが、こちらは重量もサイズも大きいため、通常のキャンプやバーベキュー向きなので登山には向いていません。
重さと収納性で選ぶ|軽量コンパクトなモデルとは?
登山では自分でかつぐ荷物は1gでも軽くしたいもの。だからこそ、本体の重さや収納サイズは超重要。最近は100g台で収納時に手のひらサイズになるモデルも多く出ています。
ただし、軽量性だけにこだわると、風に弱くなったり安定性が落ちることも。軽さと使いやすさのバランスを見極めるのがポイントです。
収納時の形状もチェック。折りたたみ式のゴトクや、収納ケース付きかどうかなど、細かい気配りが使い勝手を左右します。
火力と耐風性|標高や風の強さに対応するには?
ガスバーナー選びで意外と見落としがちなのが「風への強さ」。風が吹くと、いくら火力が強くても炎が流れてしまって効率ダウン。燃料もムダになってしまいます。
登山用のバーナーでは、風防付きモデルや、炎が風で揺れにくい設計のものがオススメ。火力だけでなく、効率よく調理できる「熱効率」も重要な選択基準です。
また、標高が高い山では気圧や気温の影響でガスの燃焼力が落ちることも。「3000kcal/h以上」の高火力モデルなら安心感があります。
OD缶とCB缶の違い|燃料ボンベにも注目!
アウトドア用のバーナーには、ガス缶タイプのものと液体燃料のホワイトガソリンタイプの2つがあります。使い勝手や燃料保管のしやすさから、一般的には家庭用と同じようにカセットガスを使うガス缶タイプが選ばれています。
ガス缶タイプには当然、カセットガスが必要ですが、「OD缶」と「CB缶」の2種類があります。
- OD缶(アウトドア缶)
小型で高性能。寒さに強く、登山に最適。価格は少し高め。 - CB缶(カセットボンベ)
家庭用と同じ規格。安価で入手しやすいが、寒さに弱く大型のため登山には不向きな場合も。
初心者はつい「安いからCB缶にしよう」と思いがちですが、登山ではOD缶+専用バーナーの方が安全で安心です。アウトドアメーカーのガスバーナーといえばOD缶が主流ですが、バーナー本体がどちらの缶に対応しているかは、購入前に必ず確認を!
2025年注目の登山ガスバーナーおすすめ12選【タイプ別に紹介】
ここでは「ソロ向け」「グループ向け」「風に強いモデル」「初心者向け」の4カテゴリに分けて、2025年に注目の登山用ガスバーナーをピックアップ。軽さ・火力・安定性など、選びやすさ重視でご紹介します!
ソロ登山向け|軽量&コンパクトタイプ
① SOTO アミカス(SOD-320)
手のひらサイズでわずか81g。ゴトクは安定感があり、初心者にも扱いやすい。風にも強く、価格もお手ごろ。

② PRIMUS P-153
火力3600kcal/hと高出力ながら本体の重量はわずか110g。コンパクト収納でバックパッキングに最適。

③ EPIgas REVO-3700
耐風性能に優れ、寒冷地にも対応。ソロ登山でも頼れる一台で、操作も簡単。

ファミリー・グループ登山向け|安定&調理しやすいタイプ
④ SOTO レギュレーターストーブ ST-310
安定感抜群の低重心デザイン。クッカーがズレにくく、ファミリーでも安心して使える人気モデル。

⑤ PRIMUS フェムトストーブ
超軽量モデルだが五徳が大きく、鍋の安定性が高い。コンパクトなのに広く使えるのが魅力。

⑥ Iwatani ジュニアコンパクトバーナー
CB缶タイプだが登山でも使えるコンパクト設計。コスパ抜群で日帰り登山や山キャンプにも◎。

風に強い・冬山対応モデル
⑦ SOTO ウインドマスター(SOD-310)
風防付きで風にめっぽう強い。マイクロレギュレーター搭載で低温でも安定燃焼。冬登山におすすめ。

⑧ EPIgas APSA-III STOVE
分離型でどっしり安定感と手元での確実な着火が可能。高所登山や縦走にも信頼できるタフなバーナー。

⑨ PRIMUS エッセンシャルトレイルストーブ
一体型の風防デザインが特徴。操作が簡単で、吹雪の中でもしっかり調理可能。

初心者におすすめ|使いやすさ重視モデル
⑩ SOTO シングルバーナー ST-301
着火も簡単で火力調整しやすく、ゴトクも広めで初心者向き。CB缶対応で気軽に使える。

⑪ キャプテンスタッグ オーリック小型バーナー
入門用にも最適。軽量で扱いやすく、近場の低山でも大活躍。

⑫ Snow Peak ギガパワーストーブ地(チタン)
収納サイズが非常に小さく、ソロ初心者にも◎。チタン製のため軽さと耐久性を両立。

※製品スペック(重量・火力など)は型番により異なることがあるため、購入前には必ずメーカー公式サイトまたは信頼ある販売店の製品ページで確認してください。
SOTO・プリムス…人気メーカー徹底比較!
登山用バーナー選びで避けて通れないのが、「どのメーカーを選ぶか」問題。特に登山者から厚い信頼を集めているのが、日本の「SOTO(ソト)」とスウェーデン発の「PRIMUS(プリムス)」です。
ここでは、それぞれの特徴と代表モデルを比べながら、自分に合った選び方を見ていきましょう。
SOTO(ソト)の特徴と代表モデル
SOTOは日本のメーカー「新富士バーナー」が展開するアウトドアブランド。登山者やキャンパーの声を反映した機能性と実用性の高さが魅力です。
代表モデルには次ようなものがあります。
- アミカス(SOD-320):コスパ抜群で軽量。初心者にも扱いやすい定番。
- レギュレーターストーブ(ST-310):CB缶対応、ゴトクが広くて鍋が安定。
- ウインドマスター(SOD-310):耐風性と低温対応力が高い冬山バーナーの決定版。
特に「風に強い」「寒さに強い」「火力が安定」という点で評価が高く、日本の気候や山に合わせた繊細な設計が光ります。
PRIMUS(プリムス)の特徴と代表モデル
PRIMUSはスウェーデン発、世界的に有名な登山バーナーブランド。100年以上の歴史を持ち、信頼性と耐久性ではトップクラスです。日本では家庭用のカセットコンロで有名な岩谷産業と1985年に合弁会社を設立し、合弁会社イワタニ・プリムスの名前で販売されています。
代表モデルには次のようなものがあります。
- P-153 ウルトラバーナー:高火力で軽量、定番中の定番。
- P-TRS エッセンシャルトレイルストーブ:風防一体型の新機軸モデル。
- P-116 フェムトストーブ:わずか57g、軽さを追求したミニマムモデル。
PRIMUSの魅力は、高火力と洗練された北欧デザイン。やや価格は高めですが、登山上級者にも愛用者が多く、長期使用にも耐える作りが人気です。
主要メーカー別の比較ポイント
メーカー | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
SOTO | 実用性・耐風性・価格のバランスが良い | 日本の山に慣れた初心者〜中級者 |
PRIMUS | 高火力・耐久性・デザイン性が魅力 | 登山歴が長いユーザー・本格派志向 |
EPIgas | 冬山・高所で強い、玄人向け | 冬山や縦走に挑戦する中〜上級者 |
キャプテンスタッグ | コスパ重視、気軽な登山に | 軽登山・初心者の練習用 |
登山用バーナーは、どのブランドにも強みがあります。自分の登山頻度やスタイルに合った“相棒”を選ぶのがベストです!
よくある質問と選び方の失敗談から学ぼう
ガスバーナー選びでありがちな疑問や、購入後に「しまった…」となる失敗例をQ&A形式で紹介します。初心者さんはぜひチェックしておきましょう!
Q:登山バーナーと家庭用カセットコンロの違いは?
最大の違いは「携帯性と耐風性」。家庭用コンロは大きくて風に弱く、登山には不向きです。登山バーナーはコンパクトかつ風に強く、低温下でも安定して使えるように設計されています。ガス缶も規格が違うので互換性には要注意!
Q:「OD缶」と「CB缶」って何が違うの?
- OD缶(アウトドア缶):登山用に最適。寒冷地でも使え、高性能。やや高価で入手場所が限られる。
- CB缶(カセットボンベ缶):家庭用と同じ。安価で手に入りやすいが寒さに弱く、登山では不向きな場面も。
初心者は「CB缶対応で試してみる」のもアリですが、標高や季節によってはOD缶の方が安心です。
Q:標高が高い山でもちゃんと火はつく?
つきますが、ガスの気化効率が落ちるため火力が弱くなることがあります。特に寒さが厳しい高山では、マイクロレギュレーター機能付きのバーナーなどを選ぶと安定して使えます。プレヒート(予熱)対応モデルもおすすめ。
Q:軽量タイプは風に弱いって本当?
一部の超軽量モデルは風に弱い傾向があります。ゴトクが小さく、炎が風で流れてしまうからです。軽さを優先するなら、風防を別途用意するか、耐風性に優れたモデルを選ぶのが吉。軽さと安定性のバランスを見極めましょう。
Q:初心者にありがちな選び方の失敗は?
よくあるのが以下のパターンです。
- 「CB缶なら安いからOK」と選び、標高の高い山の中では火がつかない
- ゴトクが狭くて鍋が不安定、調理中に転倒
- サイズは小さいけど、意外と重かった
- 思ったより火力が弱く、調理に時間がかかる
口コミや価格だけで決めるのではなく、使用環境・用途・スタイルを考えて選ぶことが大事です!
あなたの山時間を快適に!ガスバーナーでできること&広がる楽しみ
ガスバーナーは、ただの調理器具ではありません。山の上でお湯を沸かせるだけで、登山の「楽しさ」や「安心感」はぐっと広がります。
たとえば、朝もやの中で淹れる一杯のコーヒー。疲れた体にしみるカップラーメン。友達と囲む山ごはん。そんなひとときを叶えてくれるのが、バーナーの力です。
「風が強くてもすぐにお湯が沸く」「寒さに負けずに調理できる」そんなバーナーを1つ持っていれば、登山の満足度は確実に変わります。
今回ご紹介した選び方やおすすめモデルを参考に、ぜひあなたにぴったりの一台を見つけてください。バーナーを手に入れたら、次は山ごはんレシピやクッカー選びも楽しみのひとつ。
さあ、次の山行では、バーナーと一緒に“ひと味違う”登山を体験してみませんか?