冬のトレッキングで装備したい軽アイゼンの選び方

夏に山デビューしたトレッキング初心者が悩むのが、秋が過ぎ、冬になって「雪が降ってる(もしくはアイゼン必要だよ情報がある)山へ行くとき。どんなアイゼンを買えばいいの?」という点です。

氷壁をガシガシと登るわけではないし、それほど深い雪道があるわけでないし…。いや、そもそもアイゼンってなによ?どんなのを買えばいいの?というのが正しい初心者の感想かと思います。
ということで、僕も迷っていろいろ調べた、低山トレッキング向きのアイゼンの選び方をご紹介したいと思います。

そもそも「アイゼン」ってどんな装備?

アイゼンってそもそもどんな装備?という点から説明すると、アイゼンは登山靴の底面に装着する、自動車でいうところのスパイクタイヤやチェーンに相当する役割をするものです。

氷でカチカチになった滑りやすい登山道などを歩くために、金属の爪が付いています。
最近では、自動車のチェーンのように鎖状になっているチェーンスパイクも発売されてるようです。

アイゼンには用途というか、登る山の標高や場所によっていくつか種類があって、爪の数で4本爪アイゼン、6本爪アイゼン、8本爪アイゼン、10本爪アイゼン、12本爪アイゼンなどがあります。
装着方法や形状も、いつもはいている登山靴にワンタッチで取り付けられるものから、雪山用のアルパインブーツに取り付けるようになっているもの、足底だけでなくツマ先やカカト部分に爪が付いているものなど、いろいろ。

登る山によるとは思いますが、急な斜面があったり、凍結した道ばかりの山、ピッケルを使うような氷壁と、そもそも初心者がはじめから登ろうと考えたりしない冬山以外は、爪の数が少ないアイゼンでOKです。
それがいわゆる軽アイゼンと呼ばれている4本爪、6本爪、8本爪の簡易式アイゼンです。

低山トレッキングでも軽アイゼンが必要なわけ

雪や氷なんて、今度登る低山トレッキングなら心配なし。アイゼンは必要ないんじゃない?と思うかもしれませんが…。
関東近郊でいうと、奥多摩、丹沢あたりは、毎年、雪が降ってます。丹沢の塔ノ岳から鍋割山へ向かうルートや、丹沢山から蛭ヶ岳へのルートは、そこそこ雪道だったりするんですよね。

もちろん雪国と比べて降る量はもちろん少ないですけど、雪があまり積もらない場所でも軽アイゼンが必要な一番の理由は、気温が氷点下になって登山道が凍結するから!

スキーをやる人は分かると思いますが、雪が降っていない天気のよい日でも、ちょっと日陰があると、コースが凍結したアイスバーンになっていることがほとんど。
カチカチに凍ったコースは、エッジが効きにくく、ツルツル滑ってしまいますよね。

登山道もそれと同じで、たとえ雪が降っていないときでも、太陽が当たらない登山道や斜面の反対側はアイスバーンだらけ、ということが普通にあります。
この登山道でのアイスバーンは、本当に危険。
夏場なら危険のキの字もないような、傾斜がない登山道で転んで足を骨折、バランスを失って滑って尻もちをついた拍子に手首をねんざ、なんてことになりかねません。

あまり雪が降らないような低山でも、夜のうちに降った雨が止んで、朝方に氷点下になって凍結することも普通にあると考えて、トレッキング装備を考えるようにしましょう。

トレッキング装備で役に立つ、山の気温の計算方法

ちなみに、気温の目安として
【高度が100m上がるごとに、気温が0.6℃下がる】
とよくいわれます。
標高1,500mであれば、
【1,500m÷100m=15×0.6℃=9℃】という計算になって、
標高0mの場所からマイナス9℃ということ。
だいたい標高0mの街中と比べて、9℃低い気温と考えておくといいです。

自分が登る山の高度は、ガイドブックや登山地図、ビジターセンターなどのWebサイトで分かるので、今度、登ろうとしている山でちょっと計算してみてください。
冬の最低気温が2℃、3℃だからと安心してたらダメ。標高500、600mの場所より上は、氷点下になっていることがほとんどということなのです。

この山の気温の計算方法は、アイゼンの必要性だけでなく、どんなウェアを用意すればいいのかの目安にもなります。
街中が15℃と暖かいときでも、標高1,500mの山頂では【15℃マイナス9℃=6℃】に。風を遮るものが何もない山頂や尾根では、体感温度はさらに低くなるでしょう。

通常、だいたい標高1,500m前後を超える山へ行くときには、軽アイゼンを必ず携行するように呼び掛けている山小屋が多いです。
もちろん場所によっては、軽アイゼン以上の装備が必要なところもあるので、事前に情報収集をする必要はありますよ。

冬場の低山トレッキングで装備したい軽アイゼンの選び方

話を本題に戻して、低山トレッキングで装備したい軽アイゼンの選び方について。

初心者で東京都内在住の僕の場合、軽アイゼンの必要性を感じたのは、12月~2月の丹沢や奥多摩・雲取山へ登ろうと計画した時です。
山小屋の情報やビジターセンター、ヤマレコなどを見ると、凍結や圧雪の最新情報を入手できます。

「軽アイゼン必須」
「積雪あり」
といった情報が出てくるようになったら、軽アイゼンをザックに入れるのを忘れずに。
冬場、よく行く山や、標高1,500m前後以上ある山へ行くのなら、実際に使うことがなさそうでもザックの中に入れておくのが安全のためです。

そして、どんな軽アイゼンがいいのか、という点ですが。
ずばり個人的におすすめなのは、6本爪の軽アイゼンです。
※低山トレッキングに限ります。

6本爪は、足底の爪がバランスよくしっかり地面をとらえてくれるのと、前爪やカカトの爪が必要なほどの凍結斜面は歩かないので、8本以上の爪があると過剰装備かな、と思います。

爪が少ない4本爪は値段も安くてコンパクトなので、一瞬、選択肢に入るんですが、お店で実物を装着してみると、足底の真ん中あたりにしか爪がないので、これで歩くのを想像するだけでバランスが悪いのが分かるんですよね。
これだと、ちょっと岩が飛び出ていたり、階段状の場所に足を乗せたときに、爪のない前後がグラグラして、あっという間にバランスを失ってしまいます。

ということで、長くなったけれども。
冬場の低山トレッキングには、6本爪の軽アイゼンがベストなのかなぁ、と個人的には思います。
登る山に応じて、また事前に収集する情報に応じて、安全のための軽アイゼンを装備するようにしてくださいね。

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